かいじゅうたちのいるところ
2本目。予告編での映像がきれいだったのと、かいじゅうたちが違和感なく動いている様子を見て気になっていた。
非常に完成度の高い作品ではあったけれど、最後の行動がよく分からない。元の絵本からストーリーを作り上げたのは見事だった。マックスの背景を作り上げ、かいじゅうたちに個性を持たせたのは非常に秀逸。かいじゅうたちが多すぎていくら容姿が違うといっても覚えきれないと思ったけれど、最後までにはきちんと覚えられた。
かいじゅうたちを従え、住処を作るところまでは良かったのに、戦争ごっこを始めたところで違和感。8歳の子どもがうまいことできるわけもないんだけど、もう少し聡い子どもで仲の悪いかいじゅうたちを仲間にしたり、悪人ではなくマックスの味方にするなどの措置をとるのかなと思っていたら、そうではなく、マックスと仲が良いのが味方でそうでないのは悪人チーム。それでもキャロルとKWを同じチームにすることで関係の修復を図る展開かなと思っていたら、それも叶わず、逆に王様への不満がつのる結果に。
後からストーリーを振り返るとこの結果は必要であったから違和感は解消されたんだけど、今でも腑に落ちないのが、マックスの家へ帰る理由。キャロルを騙していたのがバレて、もう島にいるのが嫌になったから?実際、あの場にいたら、みんな逃げ出したくなるだろうけど、もっと家へ帰りたい、家族に会いたいという動機を見せるべきだったんじゃないかなあ。自分に構ってくれない、家族がバラバラになってしまっているように感じて家を飛び出し辿りついた島で、同じような思いを抱えていたキャロルと自分を重ねたマックスが、結局キャロルの願いだったみんなで重なって寝ることもKWが帰ってくることを叶えず、ひとり帰って母親に抱きしめられて迎え入れられるというラストはどうかと思う。
そんな感じでストーリーはちょっと微妙だったけど、マックスが王様になってかいじゅう踊りを始めてみんなで森を走り回る辺りの映像が非常にきれいでそこだけ観れただけでもよかった。ブルーレイでもう一度観たい美しさ。絵本の世界観を見事に表現した撮影の舞台裏にも興味がある。
吹き替え版で観たのだけれど、マックスが加藤清史郎くんというのだけ知っていたけど、違和感なくすごいうまくて驚きながら観ていたけど、実はキャロルが高橋克実というのをエンドロールで知り驚いた。全然気付かなかった!うまいなー。アイラが先日亡くなった郷里大輔だったというのを見てこれが最後の作品だったのかなと思いながら劇場を出る。