イヴの贈り物

一流商社のサラリーマン・戸辺和人(舘ひろし)は、家庭を顧みず必死に仕事に没頭し、管理職を手に入れた所謂“勝ち組エリート・サラリーマン”。
しかし、社内の派閥闘争に敗れたために、全ての努力が水泡に帰してしまう。自分のあまりの無力さに打ちひしがれてしまう戸辺だったが、そんな折、行きつけの喫茶店のアルバイトである一人の女性・中沢恵子(貫地谷しほり)と出会う。どこか病気で亡くした娘に面影の似た彼女は、戸辺のささくれだった気持ちを癒してくれる。二人で食事をし、馴染みのバーで一時を過ごす、ただそれだけの関係。戸辺は娘と一緒にいるような錯覚を覚え、恵子も戸辺に父親像を重ねていく。
だが、ある日、恵子は父親の借金が元でやくざによって風俗店に売られてしまい、母の死後、自ら命を絶ってしまう。その事実を知った戸辺は彼女を助けることができなかった自分を責める。そして、末期癌の宣告を受けた戸辺は、残された人生の全てを賭けて復讐に立ち上がる。

舘さんならNo doubtかなと安心していたけど、途中からひどくなった。序盤はありがちだったけど、それでもしっかりと演じるのであれば、舘ひろし主演作品として一定の評価はできるかなと思っていた。
やくざに迫られ悩んだヒロインが舘さんに「温泉に行きたい」と言って連れて行ってもらって夜に抱いてくれと言ったのに手を出さなかった舘さんかっけーと思っていたら、やくざに襲われて初体験→風俗とかなかなか救いようの無い展開に驚き。その間インドに飛ばされていた舘さんに何ができるのかというかそこまで頼るわけには…というのも分かるけど、そのインド赴任シーンも飛行機のカットを挿入しただけで「はいインド」「はい帰ってきました(時間経ちましたよー)」というのがひどすぎ。風俗店に行っている様子を描いたシーンもいかにもな人たちが歩いている中を店へ向かうところだけを映していてはしょりすぎな感大。
ストーリーでは『残された人生の全てを賭けて復讐に立ち上がる』と大層なことを書いているけど、実際は治療しないと長くて一年、早くて余命3ヶ月と宣告されて、妻にもヒロインと歩いているところを見られて別居状態、会社も半ばクビに近い形で退職という有り様で、どうにも……。やくざを逮捕に持っていけなくて悔しいというのは分かるけど、殺してやろうと思って店で包丁を手に取るもビビッて拳銃を買おうとするのも自分の中の舘ひろし像に合わなくて萎えた。なにこのバッドエンド。『団塊の世代に贈る珠玉のラブストーリー』だそうなので、年齢対象外ということで、忘れよう……。
ヒロインは永作博美に似ているなと思いながら観ていたけど、夜のピクニックにも出ていたのか。今度観なければ。